看護師不足の理由と、解決策(改善策)

 

現代社会の医療現場で深刻な問題となっている「看護師不足」。
この問題に頭を悩ませている方は少なくないでしょう。
その原因は、高齢化社会による看護師市場の需要増大、看護職員の偏在化、そして看護師の高い離職率にあります。

この記事では、その背景から看護師不足が引き起こす問題、そしてその解決へ向けた具体的な戦略を解説します。
さらに、看護師採用活動を強化するための情報収集から発信方法までの基本項目を取り上げます。
一人でも多くの看護師を採用し、退職を防ぐためのヒントになれば幸いです.

看護師採用担当者や医療従事者からすると、看護師不足の原因や退職の理由などは既にご存知のことと思います。
この記事では、「看護師の採用活動の強化」への考察が目的ですが、そのためにも市況や背景、課題などを整理したうえで看護師採用活動について記載していきます。
この記事は概要になりますが、採用ご担当者の皆様は「看護師の採用活動の強化」から読んでいただいてもかまいせん。
各医療機関のご担当者様のお話の中で気づいた点や、発見も随時更新していきます。

 

目次ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

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看護師人員不足の社会的背景と偏在化

看護師人員不足の社会的背景と偏在化

看護師市場の需要過多問題(高齢化社会 )

社会環境

日本は急速に進行する高齢化社会により、医療需要の増加に比例して看護師の需要が増大し、看護師不足が深刻な社会問題となっています。
これは、高齢者の健康管理や病気の治療が増え、医療現場における必要な人材数が増大しているためです。

具体的には、2025年には75歳以上の人口が全人口の約18%となると予測されており、これにより、医療・介護ニーズが増大し、その結果看護師への需要も増加します。(出典:厚生労働省「我が国の人口について」)
既に現場では看護師不足の弊害ははじまっており、一部の看護師が患者数の増加に伴い、1日あたりの看護時間が増え、過労が問題となっています。
また、介護施設でも看護師不足が問題となり、常に新たな看護師の採用が必要とされています。

 

看護師職員の偏在化

看護師職員の偏在化

看護師需要が増す中、配置には地域偏在領域偏在施設偏在が見られます。
この偏在化は、医療の質の低下や医療アクセスの悪化につながり、患者の安全に影響を及ぼすことが懸念されています。

都市部は、地方部に比べて、病院や診療所(専門病院や大学病院)の数が多く、看護師の給与や福利厚生、キャリアアップの機会の差も影響しています。
子育てや介護などのライフスタイルを充実させられる環境の多様さにも地域差があるため、働き方の選択の幅にも影響しています。
有効求人倍率の差(2021年)は、
・都道府県差は、1番高いのは和歌山県3.8倍/1番低いのは千葉県0.71倍
・病院や施設の差は、訪問看護ステーション3.22倍/市区町村・保健センター0.55倍
(出典:2021年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果)

地域や施設ごとに大きな差が出ています。
看護師職員の偏在化は、日本が直面している深刻な問題の一つです。
看護師職員への地域や施設毎のインセンティブの提供や、人員配置の上限設定、リモート医療の推進、看護師教育時の関心の喚起など様々な取り組みが検討されています。
 
 

 

看護師職の課題・人手不足の理由

看護師職の課題・人手不足の理由

看護師の離職率の高さ

看護師の離職率は、公益社団法人 日本看護協会 広報部 2022 年 病院看護実態調査」 結果 によると、

  正規雇用 新卒 既卒
2020年度 10.6% 8.2% 14.9%
2021年度 11.6% 10.3% 16.8%
前年度比較 +1% +2.1% +1.9%

 

2022年正規雇用看護職員の離職率は、新卒採用者の離職率は 10.3%既卒採用者の離職率は16.8%といずれも昨年調査よりも増加しており、特に新卒は2005年度以降最高の離職率で、はじめて10%越えとなりました。
転職や、復職をする人もいますが看護師をやめてしまう人も少なくないようです。
看護師需要が増え続ける中、この離職率の高さは供給が追い付かない原因のひとつといえます。
離職率の高い職場は、慢性的な人材不足の状態が続き、職場に業務過多などの悪影響を与えます。
その影響で、更に離職が増加したり、入職者が減ったりと看護師不足問題は複雑化、悪化してきている状態といえます。

 

 

退職したあと復職しない潜在看護師の存在

復職しない潜在看護師

退職後に復職しない看護師、いわゆる「潜在看護師」の存在は、2012年時点では71万人とされています。(出典:厚生労働省「2014年看護職員の現状と推移」)
再び看護師として働く事が実現すれば、看護師不足問題の解消に向けて大きな可能性を秘めています。
しかし、そのためには、復職したい看護師が再び働けるような環境を整備し、スキルアップやキャリアアップの支援等を行うことが必要と言われています。
そのヒントになる、看護師の退職要因をみていきましょう。

 

 

看護師の退職・離職の理由と要因

看護師の退職・離職の理由と要因

 

看護師が退職するきっかけにはどのようなものがあるのでしょうか?
看護師の,離職の原因についてみていきます。

 

看護師の労働環境の悪さ(不規則な勤務形態)

労働環境の悪さ

看護師の労働環境は、他の職業と比べて非常に過酷なものとなっています。
看護師は、患者の命を守るため24時間体制で働く必要があり、夜勤ありきの交代(シフト)制勤務で働いています。
この勤務体制により、育児などの家庭と仕事の両立が難しくなり、その負担が離職の大きな原因のひとつとなっています。
この状況をうけ日本看護協会では、2013年「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を公表し、夜勤・ 交代制勤務の負担軽減と改善を現場に投げかけました。
数多くの病院で夜勤・交代制勤務の見直しがされ、なかでも夜勤専従は正職員、非常勤、期間限定など幅広い勤務が可能となり多くの医療施設で導入されています。
それでも,夜勤への負担が完全に改善されたわけではありません。改善のためには、どの問題も人手不足は大きな負担となり、その是正のためにどうしても業務過多に落ちるという負のスパイラルの中にいる状態です。

また、夜勤ありきの勤務形態は健康な生活を脅かし、結果として離職率を上昇させる要因のひとつとなっています。

 

 

業務量の多さと責任の重さ

業務量の多さと責任の重さ

看護師は、患者の命を守るために多種多様な業務を担当しています。
これらの業務は、患者の体調管理や処置、医療機器の操作、患者や家族への説明、医師との連携など、非常に多岐にわたります。
看護師は常に忙しく、業務量が多いだけでなく、患者の急変や死亡に立ち会うこともあるため常に緊張状態におかれています。

2021年9月の1カ月間の看護師の平均超過勤務時間は17.4時間にのぼり、78.4%の看護師が超過勤務をしたとされていまます。
このような業務量の多さは看護師の離職を招き、その離職が更なる負担増につながっています。(出典:日本看護協会の「看護職員実態調査(2021年)」)

このように、看護師の業務量の多さと責任の重さはストレスを増加させます。そのため離職率を上昇させる要因のひとつとなっています。

 

 

看護師のライフスタイルによる変化

ライフスタイルによる変化

看護師の職場離れの背後には、結婚や出産などのライフイベントも大きく関わっています。
厚生労働省が公表した『看護職員就業状況等実態調査』によると退職理由のTOP5は、

  • 第1位 出産・育児のため
  • 第2位 結婚のため
  • 第3位 他施設への興味
  • 第4位 人間関係がよくないから
  • 第5位 超過勤務が多いため

となっています。
看護師に限ったことではありませんが、結婚や出産をきっかけとする生活の変化は職場離れを引き起こす主な理由の一つとなります。
特に夜勤を含む変則的な勤務体系の看護師の仕事は、育児との両立も難しくなるため復帰が難しい環境と言えます。

ライフワークバランス(プライベートと仕事のバランス)が保ちにくいという復帰を妨げています。

 

 

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の影響

先ほど紹介したように、2022年の新卒看護師の離職率が2005年以降で一番高く、初の10%越えになりました。
その背景には、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響があった」と38%の病院が回答しています。
(出典:https://www.nurse.or.jp/home/assets/20230301_nl04.pdf)


COVID-19の影響により、看護師は以下のような負担を抱えていると考えられます。

  • 感染リスクが高く、感染、重症化する可能性
  • 感染拡大防止のために、長時間の勤務や休日出勤を余儀なくされている
  • 感染予防のため、個人防護具を着用する必要があり、体力的にも精神的にも負担が大きい
  • 患者や家族への感染リスクへの不安

これらの負担により、心身に疲弊し離職につながった可能性は高いと言えるでしょう。

 

 

看護師不足が引き起こす様々な問題

看護師不足が引き起こす問題

医療ミスが発生しやすくなる/発生への不安が増える

看護師不足は、看護業務の過密化を招きその結果、医療ミスの発生率を高める可能性があります。
厚生労働省の「コメディカル不足に関して~看護師の人数と教育~」(2008年)によると、病床当たりの看護師数が多くなるほど患者の安全性が高まるとしています。
看護師の不足は、患者に対して手厚い看護を提供できなくなるだけでなく、疲労蓄積によるケアレスミスや、重大な医療事故を引き起こすリスクの増加は避けれません。
また、このような重大な不安は、特に現場を離れていた復職を考えている看護師には大きなハードルになるため復職を躊躇する理由になりえます。

 

 

新卒のキャリアアップが難しくなる/離職のきっかけになる

看護師が不足している状況では、ベテラン看護師が新卒看護師の教育や指導、サポートを行う時間が確保できない可能性が増します。
その結果、新卒看護師は自己のスキルや知識を十分に向上させる機会を失う可能性が高くなります。
さらに特定の分野にスキルを磨くための時間や機会も奪うわれめ、キャリアアップが出来ず、モチベーションが低下し早期離職につながる可能性が高まります。
仕事へのモチベーションややりがいのひとつには「自身の成長」があり、「自身の成長」を実感できる場合、それは仕事への充実感や自信へとつながります。
自信をもち仕事が出来成長できる環境には、帰属意識が高まるため、離職率の低下につながります。

 

 

看護師不足の解消を目指す戦略・改善施策の例

看護師不足の解消を目指す戦略

ここまで、看護師不足の原因や社会的な背景、離職の理由、復帰を考えた時の障害について記載してきました。
これらの課題に、ひとつひとつ解決に向けて真摯に取り組んでいく必要があります。
この章では、その方法について確認していきます。

 

看護師の福利厚生支援(待遇改善)

退職理由の上位の「結婚・出産・育児」に対して、復職を促すためには有給休暇の拡大、住宅補助、病院内の託児所の設置、時短勤務などの育児支援制度の充実は必須です。
育休明けの看護師が就職(復帰)先を検討する条件として、育児支援制度はかなり優先順位の高い項目となります。

給与などの待遇もそうですが、こういった働くこと自体の支援や、仕事をする事への不安の排除は職場として改善に取り組み、しっかり発信していく必要があります。

 

 

看護に関わる専門の研修や学習環境の整備(教育体制)

看護師不足の解消を目指す戦略の一つとして、看護に関わる専門的な研修や学習環境の整備、資格の取得支援は極めて重要で大きく分けて以下の2点の効果が期待できます。

  • 職務満足度の向上:専門的な知識やスキルの習得は、職務満足度を向上させます。専門性と自信の向上促進は、結果として職場での持続可能性につながります。
  • 職業へのコミットメントの強化:研修や教育を通じて、自分が重要な役割を果たしているという実感や自信を感じる事は、職場へのコミットメントにつながります。

また、復職者は現場復帰に技術の衰えや、最新医療への知識不足という不安も抱えてブランクを重く受け止めています。
復職支援の研修制度などにより、医療行為を行うことへの不安解消の手助けが出来れば業務へのスムーズな復帰を促せます。

 

 

看護師の職場環境の改善

看護師の離職理由の多くに、厳しい職場環境があがります。
これは、人手不足に起因するものが多く、そのカバーのために多忙を極め職場環境が悪化している場合も多く見られます。
迅速に人手を補うのが難しい場合は、業務を改善するためのシステムを導入や、仕組みの見直しなど、負担を軽減する工夫が必要です。
そして、何よりも看護師不足解消のためには、人員確保・採用強化が最も重要という皮肉な現実があります。

 

 

看護師採用活動の強化(情報収集~発信方法で押さえておくべき基本項目)

看護師採用活動の強化(情報収集~発信方法で押さえておくべき基本事項目)

 

看護師採用市場の問題点や課題、看護師の労働環境の課題などをまとめてきました。
実際、これらに対する様々な対策や施策をすでに行っている病院がほとんどだと思います。

ここからは、採用活動という視点でここまでの内容を踏まえ、必要なポイントを整理していきます。
弊社が採用ご担当者様と直接やり取りして感じたことや、実際に対策を講じて効果のあったとことをを中心に紹介させていただきます。
すぐに出来る事から、すぐには難しい事もありますが、出来る事からトライしていただけれれば幸いです。
また今回は、採用強化を進めていくうえで重要な準備や、現状の見直しを含め基本的な事柄に重点をおいて解説していきます。

 

求職中の看護師のニーズを把握する

看護師のニーズ

求職中の看護師のニーズや希望を把握しそれに対応していくことは、看護師の採用強化と離職防止対策にも有効な手段となります。
ニーズの理解は、求職者が真に求めているものを提供し、看護師としての満足度を向上させるために不可欠です。


さて、看護師求職者のニーズを把握する方法は、どのような手段があるでしょうか?
また、現状どのような方法で取得していますか?
なんとなく肌感覚で、個々の採用ご担当者の頭の中にあるという状態ではないですか?

 

 

看護師のニーズを知る方法と情報の蓄積方法を整理し確立しましょう。

実際採用のご担当者に求職者のニーズについて伺うと、たくさん出てくるのですが情報が整理されていない場合が多いです。
この話題を複数のご担当者で話すと、それぞれの担当者からどんどん出てきます。そしてその情報が初めて担当者で共有されるとケースもよくあります。

まずは、

  • 現状の情報の整理
  • ニーズの取得方法
  • ニーズ言語化
  • ニーズの蓄積方法、共有方法

をしましょう。

最初は出来るだけ多く項目をだし、後から整理するという方法で行ってください。
もしかしたら、「それは採用媒体の営業担当や採用WEB制作会社が調べるもの」と思われるかもしれません。
もちろんそれも情報収集の手段の一つではありますが、外部の人間はどうしても統計的な情報に偏りがちになります。
例えば、この記事に記載してきた、「退職理由」や「看護師不足背景」の統計データがそれにあたり、逆から見ればニーズとなるわけです。
個々の生の情報を入手しやすいのは、仕事の現場であり、採用の現場です。
様々な角度から、情報収集・蓄積・共有が出来る準備をしていきましょう。

 

 

情報の整理の仕方の例「誰のニーズのなのか?」

情報の整理の仕方の例

集めた情報を列挙して気づいたかと思います。
様々なニーズがごちゃ混ぜですね?この情報を、属性ごとに分けて整理してください。

例えば、ターゲットごとに
新卒(近隣在住・遠方在住)/中途(転職者・復職者~育休明けやブランク●年以上など)

この情報は、求人媒体への出稿時や採用サイトの制作、コンテンツの作成時に必ず重宝します。
看護師のニーズは常に変化しているため、常に最新の情報にアップデートしておく必要があることにも注意してください。
アフタアフターコロナでは、ニーズの変化は顕著に表れていますし肌で感ていることと思います。
社会情勢や、生活環境の変化など様々な要因でニーズは変化していきます。
そのため、常に情報をアップデートしていく事が必要です。
ご多忙なのに大変なのは重々承知しておりますが、とっても重要な事項ですので、仕組み化していくことを推奨いたします。

★情報収集経路や、整理の項目などが確立してくればオートメーション化の仕組みを組むことも可能です。

 

 

職場環境や教育制度など準備した制度を発信する

職場環境や教育制度など準備した制度を発信する

 

看護師の採用活動を強化するためには、準備した制度(職場環境、教育制度など)を積極的に発信することが重要です。
組織や職場の価値観や強みを明確に伝えることで、求職者に対する職場の魅力を高めることができます。

当たり前の事を言っているように感じられるかもしれませんが、求職者がその内容を理解するという視点でもう一度見直してみてください。
どうでしょうか?しっかり伝えられているでしょうか?

 

まずは現状を正確に詳細に伝えること

現状を正確に詳細に伝える

例えば、
看護師採用サイトや、病院サイトの採用情報ページで教育制度や、職場環境を改善するシステムの導入などを明確にわかりやすく伝えることが大切です。
そして、医療業界ではそれが出来ていないWebページがとても多く見られます。
弊社が、(集客のご相談で)SEO対策でコンテンツ作成のヒアリングや、記事の元原稿をいただいた際に、

「こんな施策を行っているんだ」
「子育て中の看護師にめっやくちゃ理解がある職場だな」

と感じたり、新たな発見がいつも、いくつもあります。
そうなんです。Webページには記載がない、求職者に有益な新情報が次から次へと出てくるんです。
まずは、掲載出来ていない情報から整理し掲載の準備をすすめてください。

 

別のよくある例をあげると、
「採用サイトから転職者(既卒者)の応募がとれない。」
というお問い合わせをいただき採用サイトを確認すると、募集要項くらいしか転職者向けの情報がない。

というような、根本的な課題が見つかることがよくあります。
看護師の採用サイトはなぜか新卒向けのみに作られているケースが多く、既卒層(転職)向けの情報はほぼないというサイトがほとんどです。
既卒層(転職)は、紹介や求人媒体を使うパターンが一般化しているように見受けらえます。

業界の常識として、既卒層(転職)は緊急対応が必要だから紹介を活用するのがあたりまえという考えがあるようです。
はっきいって大チャンスです。
現在、既卒層(転職)の求職者に向けた情報は、求人媒体などの募集要項を中心とした情報しかないという事です。
転職者のニーズに合わせた真に知りたい情報は出回っていないのでその情報価値は計り知れません。
その情報を出していけば、情報収集をしている求職者がその情報を見てくれる可能性はものすごく高くなります。
つまり、多くの看護職の求職者にリーチ(接点がもてる)ということです。

このように、求職者にとって必要な情報や、有益な情報を採用ホームページで十分掲載出来ていな状況が散見され鵜状態です。
まずは、

  • 必要な情報が掲載されているか?

を再度チェックしてみて下さい。

情報が充実することで求職者につたわる職場(求人票)の魅力は大幅に向上することは間違いありません。
また、有益な情報は集客にも直接的な影響を及ぼすのが、ネットの世界です。

●実例:コンテンツ追加で看護師応募が2.5倍になったSEO対策例

 

 

伝え方には工夫が必要(情報の伝え方)

伝え方には工夫

例えば、
教育制度で「●●式教育制度」を採用しています。『新人からキャリアアップまで継続教育を実践』
あとは図解しているのでみてください。。

と言った内容のページは少なくありません。
教育の仕組みとしてはよかったとしても、求職者にはその良さが伝わらないというケースはよくあります。

このコンテンツをどう伝えるべきなのか?について少し考えてみましょう。

まず、新卒層と既卒層が知りたい内容は全く違います。
既卒層は新卒層に比べてより具体的なニーズを持っています。
これは退職理由に大きく関係してきます。

キャリアアップの機会がないことや、「成長の実感」が出来ない事に対する不安や不満が退職理由の一つの場合、「教育制度」や「教育体制」など、病院の教育に対する姿勢や考え方は就職先の検討時に重要な条件になってきます。

では具体的に、

「認定看護師」「専門看護師」の資格取得を目指しているが、今の職場には有資格者の先輩も少なく支援制度などしっかりとした支援がない事で悩んでいる転職検討者Aさんがいたとします。
Aさんは、資格取得支援制度のなかでも、「認定看護師」「専門看護師」になるための支援制度について知りたいと思っています。

Aさんに向けて必要な情報は、
資格支援のなかでも「認定看護師」「専門看護師」の資格取得のための支援制度の情報です。
この支援制度を具体的な解説があることが好ましく、「専門看護師」の資格取得者(先輩看護師)が

  • 専門看護師を目指した経緯
  • 専門看護師の(支援制度を使った)資格所得までの経緯
  • 資格取得後の仕事にどのように活用されているか

といった内容があるとイメージがしやすく、その情報を提供している病院に対する興味や好感度そして安心感が上がるります。

ホームページの構成という視点から考えてみると、
Aさんは、教育制度のページ、福利厚生や支援制度のページ、もしくは職場環境のページから「資格取得支援」の情報を探すかもしれません。
そこから、上記の先輩の具体的なエピソードのページを見てもらうという導線を組んでいく必要があります。
このように、

  • 何をどのように、どのような構成で伝えるか?
  • 対象者に見てもらうために、どのページからどのように導線を設定するか?

こういったことを意識して見直すことで情報が伝わるか?伝わらないか?に大きな差が出てきます。

 

 

求人媒体と採用サイトでは伝え方を変える

伝え方を変える

ここまで読んでいただければご理解いただけるかと思いますが、求人媒体と、採用サイトは、情報を見る人、環境、条件が違うので状況に合わせて伝え方を変える必要があります。
求人サイト(メディア)の情報作成を「採用サイトやパンフレットから作って」と丸投げしてしまうケースもあるかと思います。
ご多忙の中、気持ちはわかります。
でも、採用媒体は他の求人と比較されることが前提ですので、掲載情報も比較されることを前提に作成したほうが効果的です。
ここでは、「掲載環境(媒体)によって発信する情報は変えたほうが効果がでる」という話までにとどめますが、状況に応じて情報発信の方法や考え方をみなす必要があることを覚えておいてください。

※この内容はまた、別途記事にします。
※媒体毎の効果測定は出来ていますか?「媒体と、採用サイトではどれくらい採用試験まで進む確率が違うか?」というデータ公開中です。是非確認してみてください。

 

 

 

看護師の採用は時間と労力がかかるため、計画的に進めることが重要

看護師の採用は時間と労力がかかるため、計画的に進めることが重要

 

看護師の採用は、他の職種と比較して時間と労力がかかるため、計画的に進めることの重要性は高くなります。
少子高齢化の加速で、慢性的に人材が不足することが予測される分野ですし、当然今後は更に優秀な人材確保の競争が激化することも間違いありません。

採用手法も増加し、人事担当者、採用担当者の業務量は増え続けています。
この点からも、計画的に採用活動を進めるためには、採用活動自体の全体像を整理し、定量的に管理できる体制の準備が必要です。

 

採用のフローを明確にし、見える化した上での管理が必須

看護師採用のフローの見える化

弊社は、採用サイト(ダイレクトリクルーティング分野)でのご相談を多く受けます。
その際に、「採用サイトの目標は何ですか?」という質問に「看護師採用」と回答される方が多くいらっしゃいます。
これは、この業界の代理店や、媒体社の方に聞いても「看護師採用」や「看護師採用人数の確保」という回答が返ってくることは珍しくありません。
結論から言えば、この考え方はダメです。絶対NGです。

 

大きな目で見れば確かに「看護師採用人数の確保」なのですが、採用サイトだけで看護師が入職する事は現状ありません。
面接や採用試験はリアルの現場で行われ、その選考を経て内定、入職へとつながります。
つまり採用サイトでは、「看護師の入職者を獲得する為のどのステップを期待するのか?」ということで、
『資料請求』や『インターンシップ予約』が目標になることが多いです。
この目標設定の仕方は、採用フローの中の効率を管理して決定していきます。

例えば、大まかですが下記の採用ステップだと仮定します。

  1. 資料請求
  2. 合同説明会
  3. 病院説明会・見学会
  4. インターンシップ
  5. 採用試験
  6. 内定

それぞれの人数や進捗度合いを管理して、内定に一番つながっている人はどのステップとの関係性が深いかを分析します。

  • 資料請求数が増えれば、内定者も増える
  • インターンシップに参加が採用試験の受験や、内定に一番関係性が深い

など逆算して、「インターンシップ予約」をとれるWebサイトにしよう!というような、目標(役割)が決定します。
このように、採用フローをステップごとに管理して、どの項目を改善すれば一番採用につながるか?(KPI)を見定めて採用活動全体を管理していきます。

下記のデータは、採用フローを定量的に分析したデータの一部です。

【看護師新卒採用媒体効率】採用試験受験者は、どの媒体を経由が多いのか?(2017年分析データ・事例)

この例からは、最初の接点を資料請求とした場合、どの接点が採用試験の受験につながりやすいか?という「採用試験の受験」からみた媒体の効果を測定しています。
こういったデータをとることで、採用課題の抽出や、採用施策の決定の正確性がより向上し、成果に効率的にアプローチ出来るようになります。

 

 

情報の収集から発信までの流れを仕組み化する

情報の収集から発信までの流れを仕組み化

採用フローの管理だけでなく情報発信の仕組み化も重要です。

  1. 情報の収集
    • 看護師のニーズを把握
    • 競合他社の採用活動を分析
    • 採用活動のトレンドを知る
  2. 情報の発信
    • 求人情報の作成
    • 求人情報の掲載
    • 採用イベントの開催
    • 採用広報活動(WebサイトやSNSの更新管理)

こういった全体の流れを仕組み化して管理することで、採用活動全体を効率化(業務効率化)し成果へつなげていく事が可能になります。

 

 

 

看護師の離職率を低下させる(定着率の向上の)ためには、継続的な取り組みが必要

看護師の離職率を低下させるためには、継続的な取り組みが必要

 

看護師採用活動の強化という章ですが、離職率を低下させる取り組みとは深い関係があります。
シンプルに離職率が下がれば、採用必要人数も下がるという理由もありますが、継続的に福利厚生の改善や職場環境の改善を、採用広報でも発信していく事が重要だからです。
正確な情報の発信は、求職者とのミスマッチングを低下させ、結果的に離職率の低下にもつがり、採用活動の計画が立てやすくなります。

 

継続的な取り組みは、その組織の価値観や特徴につながる

独自の職場改善の取り組みは、その組織や職場の価値観や考え方に起因します。
継続的な取り組みは、組織やチームの雰囲気やあり方の基盤になり、職場の特徴や魅力を伝える良い手段になります。

 

現在注目高まっているリファラル採用の促進にもつながる

良い職場環境を作るための活動は、スタッフの協力も不可欠です。
環境づくりのための、ビジョンや価値観の共有は組織への帰属意識を醸成し、仕事への自信や誇りへとつながります。
いうまでもなく、病院や看護師という職業ははもともと社会への貢献度の高い組織であり仕事です。
それにプラスして組織として共通目標(共通認識)を発信できれば、それは紹介を含めた新た仲間を募る大きな魅力となり、きっかけになるでしょう。

 

 

 

看護師人手不足の理由と 採用活動における解決策と 採用サイトの改善対策の基本まとめ

看護師人手不足の理由と 採用活動における解決策と 採用サイトの改善対策の基本まとめ
 

この記事では、看護師不足の原因や社会的背景、看護師個人レベルでの離職理由などを厚生労働省等の調査をもとにまとめました。
そして、看護師採用の強化のために必要な考え方や手法を、私の実際のお打ち合わせや、業務、施策を行った成果、体験をもとに改善策や実施例を紹介しました。

簡単にまとめると

  1. 採用対象(ターゲット)毎のニーズを把握すること。
  2. 現在発信している情報が、部外者に正確に適切に伝わっているかみなすこと。
  3. 計画的かつ効率的に採用活動を成果につなげるための、採用フローの見える化し管理する事。
  4. 上記の3つを出来る限り仕組み化すること。

となります。

ずいぶん長い記事なのに、概要の概要くらいの内容になってしまいました。
次回以降それぞれを細かく解説し、実業務にすぐに活用でき、効果につながるような内容までご紹介できればと思っております。
また次回の記事でお会い出来たら幸いです。